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子宮頚がんワクチン副反応22
子宮頚癌ワクチンGoogle 検索
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 これまで難しい話が続いたので、肩の荷を下ろす話を一つ。

 Google検索は今の人には大きな影響がありますが、これまで「子宮頚癌ワクチン」で検索すると、反対派が何ページも続いていました。これに対する先陣の久住先生がやっと8-9ページ目に登場していました。これでは関心を持って初めて検索する人が、久住ブログにたどりつくはずはなく、公平な視点を持つのは無理です。今年2015年10月、村中記事で初めて流れが変わりました。

 私も以前からブログしていましたが中村ゆきつぐブログのコメントで冬眠から目覚め参戦しました。神経内科医しか書けない、脳委縮(11月14日)抗NMDA抗体(11月15日)がワクチン接種以前からあった可能性を述べました。これが専門家や記者・知識人の大きな疑問を解消したことも間違いありません。村中さんの情報力はすごいですが、反発も強烈なのでこの支援がなければ耐えられなかったかも知れません。

 WHOの意見が12月17日に発表されましたが、私のブログで鹿児島大学のHLAとの関連について12月18日述べた後、12月23日、毎日新聞のWHOの意見報道になっています。

 そこで12月25日、「子宮頚癌ワクチン」でgoogle検索すると、下図のように久住ブログが6位に、ゆきつぐブログが7位と、初めて検索する人の目にも留まる位置に上がりました。ほんとうにうれしいです。それでも、私が「サケとクジラを交配する」と表現したTHINKERブログより下位ですが。

子宮頚癌ワクチンGoogle2015-12-25

 私は、メーカーサイトのような一方的配信では解決しないと考え、ネットを巡って市民のコメントの一つ一つに答えるようにしています。CookPadの井戸端風コメントにも答えました。今日12月27日も、TBS報道のYahooニュースコメントに素早い応答が必要と考え何本かに返信しました。

 独立した科学的解説サイトが必要と考えていますが、残念ながら、問い合わせても、神経内科でこれに毎日時間を費やして活動している方はいないようです。村中さんだけでなく、かなり以前から風圧にさらされていた婦人科の先生もおり、彼女らの応援が必要です。神経内科や精神科の先生方のご協力をお願いします。

 今後も心因性患者が増えないようにブログを続けます。池田論文についても順次解説の予定ですが、それよりもっと重要なことを解決しないといけません。

子宮頚がんワクチン副反応 22

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子宮頸がんワクチン | 15:12:49 | トラックバック(0) | コメント(5)
子宮頚がんワクチン副反応 21
HLAとの関係2
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

3)異質な例の内、何を疾患とするか?

 今後の研究の質を保つには、報道例はかなり異質なので、どれを疾患とするかが重要です。

 これまでもブログで触れて来た例は、2012年2価HPVワクチン接種、4ヶ月目に腰痛あり整形主治医も「夜痛みで不眠、持続と話すが長時間bed上座位可能」、鎮痛薬は無効(あげくレペタンもコデインも無効)、ステロイドパルスも免疫G大量療法も無効とされ、7か月目にリハ室に行き研修医も不思議がる右肩痛が出現、その2日目に痛みが消えた後、3日目に感覚障害もないのに右手関節と右全指の完全麻痺をきたしました。
 神経内科初診で下肢筋力正常だが「両足鶏歩」記載あり、脳や脊髄のMRIも正常、麻痺肢の神経伝導検査は末梢でも経頭蓋磁気刺激でも正常近畿大学での抗ガングリオシド抗体も陰性。典型的とされる過換気発作をきたし、県下の症例検討会で歩行Uターンするとしばし患側が逆になり、さらに、修学旅行で仲間と歩いていて先生に急ぎなさいと言われ、仲間と一緒に駆け出したら、それまで何カ月も続いた歩行障害がなくなっています

 本例(*1)は、お手紙では鹿児島大学の検査例には含まれていないとのことです。彼らは、2013年研究を始める前からこの症例を知っていましたが、数少ない内(*2)にも入れていないのです。りっぱな見識です

 黒岩義之先生は神経生理検査も詳しいはずですが、西岡基準では本例も含まれてしまうことを、どのように考えるのでしょう?「視床下部の異常でしか説明できない」そうですが、視床下部病変で本例の麻痺や臨床経過を説明できるのでしょうか。

4)研究の出口は?

 HLA-DPB1*0501は、1990年には多発性硬化症との関連、1998年には視神経脊髄炎と関連がいわれています(資料が色々なので1年くらいの誤差は許して)。彼らが2013年にこれに倣って研究を始めたのは、その時点では良かったでしょう。
 しかし、2015年1月のSchellerらのデンマーク論文によって、HPVワクチンで多発性硬化症やその他の中枢神経脱髄疾患は増えていないと報告されています。住民ベースのしっかりした研究なので、これを覆す疫学研究は無理でしょう。

 外国と日本は違うと言いたい方もいるでしょう。しかし、いずれも下図のように脳や脊髄に脱髄性病変をきたすので、MRI普及が優れた日本では全国どこでも異常が指摘できます。どちらも特定疾患に入っていますが、よって、認定申請に画像異常がなければ通るとは考えられません。

多発性硬化症;散在する白い点が病変。
東北大学ms01

視神経脊髄炎:上から下につながる灰色の脊髄の中で境界はあまりはっきりしない白い部分が病変。
Christopher R Neurology 2011年77巻193NMO

 そもそも、体中にイボができるというねつ造記事を引用して不安を与え、市民から誤報と指摘されても、お詫びもない方もいるので、このような異常が1例でもあれば喧伝されているはずですが、これまでの報道例にはありません。
 黒岩先生も画像については逃げを打たないといけないくらいですから、わが国で子宮頚癌ワクチンとHLA-DPB1*0501で中枢神経脱髄性疾患が増えると論証するは無理でしょう。

5)研究の位置づけ

 初めに述べるべきでしたが、HLAの解説を先にしたので末に置きます。この研究は患者とみなす群について述べるだけで症例研究にあたります。対照群おいた研究や前向き研究に比べるとランクが低いとされます。
 検査の陽性陰性の割合や、症例が増えてからの患者背景の分析は、論文を待つしかなく今は論評できませんが、3)で指摘したように、研究に都合良い患者を選んで入れるというバイアスをどう避けるのか明確でしょうか?
 それ以上に、今の研究デザインでは、特異度が低いだけでなく、臨床指標も出ないのが明らかで、もし可能性があれば次の計画が必要ですが、それは仕事量がとても大変です。大学院学生は将来発展する研究をしたいはずです。私も大学院学生として少し研究生活があるので、気の毒に思います。幸運を祈ります。

(*1)私が退職後「両足鶏歩」と記した医師によって、第203回日本神経学会九州地方会で発表され、座長も心因性ありと評価です。紙面が足りず重要な未公開の事実は伏せてあります。
(*2)検査例数は増えているとのことですので、期待しましょう。

子宮頚がんワクチン副反応21

子宮頸がんワクチン | 10:39:19 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応 20
心因性の病名をどうするか?
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 HLA続報に追加を検討しているので、より重要なこちらを先に出します。欠点を指摘して得点しても、それだけでは心因性患者の発生を減らすという勝利は得られません。

 子宮頚がんワクチン副反応16で、DSM第4版の身体表現性障害は、簡単にいうと誤りだったとのことです。では、どのように呼べばいいのでしょう?

1)「身体症状症および関連症群」では足りない

 DSM第5版の「身体症状症および関連症群」でも、実は、心因性のもう一つの群「解離症群」を含んでいないので、これと合わせて呼ぶには不適当です。

2)機能性神経障害では混乱する。

 審議会で副作用例に機能性身体症状という一人だけの和文提案も見られますが、心身の反応というよりも説明が意味不明です。これを認めさせるには、2-3ページの英文論文でも無理で300ページ超える本の出版が必要です。

 これと関連するか知りませんがDSM5の「身体症状症および関連症群」の中の一つが、Conversion Disorder (Functional Neurological Symptom Disorder) 変換症/転換性障害 (機能性神経症状症) という風に( )付きで記されています。この副題では混乱します。
 なぜなら、昔から医学部講義の中で、てんかんや頭痛などを機能性障害という単元にまとめることが続いており、私も琉球大学の神経内科講義スケジュールをそのようにしたこともありますが、下記の教科書でもそうなっています。これらは神経内科学の中なので神経という語はついていませんが、虚血性心疾患などもある場面では、当然、機能性神経疾患と呼ばれます。DSMは精神領域以外を外した狭い用語集なので配慮が足りません。

江藤文夫・飯島節(編) 神経内科学テキスト3版 南江堂 2011
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鈴木則宏・荒木信夫 神経学 (講義録) メジカルビュー社 2007
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柴崎浩 神経診断学を学ぶ人のために 2版 医学書院 2013
柴崎神経症候2nd目次1

 これは、メリット神経病学と呼ばれるバイブル的神経学教科書から源があります。
メリット神経病学2版 椿忠雄訳 医学書院1983
Meritte2ndTextContent.jpg

 逆に、統合失調症など器質性精神疾患と対比させ、ぜんぜん違う疾患群を機能性精神疾患ということも、精神科医の講演会などでしばしば見ます。以上のように、わずかな文字違いなので、機能性神経症状症は一般人を混乱させる用語です。

 誤解があるといけないので述べると、DSM5でも「身体症状症および関連症群」とさえ同列ではなく、機能性神経症状症を心因性の代名詞のように用いるのは誤りです
 「身体症状症および関連症群」の中だけでも、変換症(*)と比べて、「機能性神経症状症」は文字の意味するのは不明です。本来、神経は解剖学的構造に全て何らかの機能を担っており、わざわざそう言われても「はてな?」です。生理的振戦ですら、DSMとは違いますが、機能性神経症状としておかしくありません。

 この( )付き副題に過ぎない呼称は、すでに一部で混迷している心因性障害を意図的に混乱させようという狙いでない限り、排除(排撃)すべきです。つまり、心因性障害を機能性神経(身体)症と呼ぶべきではありません。その一部はDSM5の正式病名「変換症」と呼んで十分です。

(*)子宮頚がんワクチン副反応9で、conversionを転換と訳すと「てんかん」と聞くだけでは区別できないので、conversionを転向障害もしくは変更障害と訳す方が良いと述べていますが、先にDSM5で実現されていました。

子宮頚がんワクチン副反応 20

子宮頸がんワクチン | 10:58:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応19
HLAとの関係1
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 これまで副反応と一方的に宣伝されている脳委縮抗NMDA受容体抗体が、ワクチン接種前からあったとも考えられると(*1)ネットで初めて指摘しましたが、HLAは生まれつき持っているものであり同じようには言えません。HLAとの関連についての研究が報道されたので、現状でどう考えられるか解説をしてみます。
 今回は、一般になじみのないHLAの初歩的解説と検査の一般的特性について述べ、次回に、この検査の課題について考えたいと思います。

1)HLAの復習

 一般の方に簡単免疫学講座(*2)を薦めます。私がネットで探した中では分かり易く、イラストの転載許可をいただきました。免疫は専門外ですが私なりに分かり易く説明してみます。
 個々の細胞に目はなく真っ暗な体の中で動ける細胞は手探りしかありません。今日は12月なので忠臣蔵を引用すると、暗闇の討ち入りで敵か味方か分からず同士討ちを避けるため「山」「川」の合言葉を使ったとされますが、白血球なども相手の細胞に(手で)触れるまで敵か味方か分からないのです。そのため、商品タグのように細胞表面にいろいろな(点字?)目印を付けています。それらは主要組織適合抗原(MHC)と呼ばれ、その一つがヒト白血球型抗原(HLA)で6番染色体にあります。血液型A,B,Oと同じく遺伝ですが、HLAは両親から違う型が来ても共優性で全て発現します。図H1にあるようにたくさんの種類がありますが、遺伝なので人種差があります。HLA−DPB1*0501型は、日本や台湾では多いそうです。

 図H1
lecture13_image_03.jpg

 HLA−DPB1の属するMHCクラスⅡは抗原提示細胞の表面にあり、細胞内に取り込んだ異物である抗原の情報を、別なリンパ球T細胞に伝えます(図H2)。全く架空ですが、吉良上野介が逃げ込んだ部屋(抗原提示細胞)のネズミが浪士に味方し彼の草履を部屋の外の札(MHCクラスⅡ)にかけるようなものです。草履に気付くことができない浪士(T細胞)は、別を探して離れます。草履を知っていたT細胞は戦闘モードになり仲間にも知らせます。

図H2
lecture12_image_01.jpg

 この様に免疫で重要な働きをしているので、昔から研究がおこなわれ、1973年に強直性脊椎炎とHLA B27との強い関連が発見されています。しかし、分子生物学的材料にも関わらず疾患群と健常群との間の疫学的差が明らかになっただけで、「風が吹けば桶屋が儲かる」機序は40年以上たっても解明されていません。クラスⅡ関連でも仮説の域を出ていないとされます(*3)。特に、疫学ですから対象をどう取るかで、研究の過程で関連がないとする論文も出てくることが珍しくありません。

2)検査の感度と特異度

 検査の有用性を計る指標に感度と特異度があります。両者は拮抗することが多いです。
 感度(sensitivity)= A / ( A + C )です。感度が高ければ見逃しが少ない(表H 1のCで示す偽陰性が少ない)ことになり、望まれます。
 特異度(specificity)=D / ( B + D )です。特異度が高ければ、誤って異常と判定されることが少ない(表H 1のBで示す偽陽性が少ない)ことになり、これも必要な条件です。
表H1
感度特異度1

 そこで下表H2は、報道(*4)と副反応発生率0.08%を元に、ワクチン接種者全てに検査して患者が12人に達した時の結果の予想図です。感度は良くても、前述計算による特異度は50%と低く利用できません。つまり、ある個人を測定してHLA−DPB1*0501であったとしても、異常である確率は半々ですから、なんとも言えないことになります(*5)。
 さらに、ワクチン接種した上段に示す検査陽性者の中で11:7489ですから、直接的原因とは考えられないのはもちろんでしょう。検定が不要なほど明らかです。

 研究者は当然これらの事実を知っていますので、一般市民が思いこみを持たずに正しく理解することです。

表H2
感度特異度2

今回まとめると;
1)HLAは免疫に重要な役割を担っている。
2)HLAと疾患の関連も40年以上前から指摘されているが、分子生物学的話題にも関わらず疫学的結論に過ぎず、対象が違うと関連が証明できないこともある。
3)HLAと疾患の関連を、分子生物学的に全容説明するのはまだできていない。
4)HLA−DPB1*0501は健常者での保有率が高いため、子宮頚癌ワクチン副反応がおこる予測には使えない。
5)HLA−DPB1*0501が、子宮頚癌ワクチン副反応の直接的原因とは考えられない。

次回はもっと重要な別な観点です。

(*1)接種前になくても、好発年齢が重なっているので偶発した可能性が高いことも、すでに指摘済みです。
脳委縮;http://powriter.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
抗体;http://powriter.blog.fc2.com/blog-entry-227.html

(*2)滋賀医科大学 病理学講座 疾患制御病理学部門
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqpatho2/lecture/immunology/lecture_09.html
(*3)土屋 尚之他、平成27年度認定HLA検査技術者講習会テキスト リウマチ・膠原病とHLA
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/mhc/22/2/_contents/-char/ja/
(*4)健常者陽性率4-5割とのことですが、毎日新聞ですから研究者の情報に基づいているはずで、簡単にするため5割としました。
(*5)健常者でも極めて稀な型であれば、特異度も高くなり使えたはずですが、残念な結果です。

子宮頚がんワクチン副反応19


子宮頸がんワクチン | 11:04:57 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応18
神経学の祖 シャルコーが教えてくれたこと2
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 シャルコー神経学講義の著者ゲッツの解説に、「シャルコーによるヒステリー研究への貢献のうち,男性ヒステリーの確立と,男性ヒステリーと小さな外傷の帯びつきがしばしば見られるのを確認したという2点はもっとも重要である。 略 第一次世界大戦中,一見健康そうな兵士たちは感情が高ぶった状態で小さな外傷を負った後,数え切れないほどの奇妙な症候を起こしたのだが,シャルコーの観察はこの状況を理解する基礎となった。シャルコーは,外傷のせいで一過性の催眠状態となり,その最中の自己暗示によって麻痺が起こると示唆した。」と述べられています。(*1)
 ワクチンの筋注とそれらの「小さな外傷」は違うという人もいるかもしれませんが、ワクチンがロシアン ルーレットなみに障害をもたらすと宣伝される中で接種されたら、年若い女性には同じになるのではと思います。
 シャルコーの講義例にあるように「外傷後の(心因性)麻痺は打撲や受傷の直後に生じるのではなく、時間をおいて出現する。」ともう一つの解説書(*2)でも述べられています(心因性は今回挿入)。これは昨今問題になっている例でも見られます。

 これらの指摘は子宮頚がんワクチンもない時代、シャルコーの厳密な神経学的検討による火曜日外来だけでも244例という多数のヒステリー患者に基づくものです(*3)。我々が知らなすぎです

 シャルコー 力動精神医学と神経病学の歴史を遡る ―精神科医からのメッセージ
 江口重幸 勉誠出版 2007
シャルコー江口本表紙


 シャルコー自身の性格の評価はいろいろのようですが、彼の死後も弟子たちが育ちました。フロイトは短期の受講だったそうですが、堂々たる講義に感銘を受け、後に無意識の実在を示す人類に最大級の貢献をしました。フロイトの印象ではシャルコーはさわやかであたたかく,ウィーンで師事した教授の「ひどい浅はかさ」とは正反対だったそうです。(*4)
 また、シャルコーは詐病とヒステリーの違いを明らかにしていますが、解説者がヒステリーてんかんの章の最後においたエピソードからも、彼が患者の深い信頼を得ていたとうかがわれます。

 引用(*5)
 ヒステリー患者のうち有名なプランシェ(マリー) ・ウイットマンはシャルコーが死んでまもなく(つまり催眠実験が行なわれなくなったころ),発作がなくなった。彼女は1900年ごろサルペリエール病院の放射線技師になってガンと長く苦しい闘いを続け,その間に指,手,腕を次々に失ったが,けっしてヒステリー発作は繰り返さなかった。(*5)
 ボードゥアンが「あの発作は全部作りごとで,患者は眠るまねをして匿者をからかっていたのだという説がある。これは本当かね?」と聞くと、彼女は答えた。「絶対に違います,嘘です。発作は本当に起こって嗜眠状態になったんです。それ以外のことは何もできなかった。それだけじゃなくて,発作はちっとも楽しくなんかなかったのです」。さらに彼女は加えた。 「作りごとですって! シャルコー先生を簡単にだませるとでも思ってるの? そうですとも,いかさま師が大勢やってみましたよ。シャルコー先生はそんな連中を一目見るとこう言うんです。 『おとなしくしてなさい』つてね」

 これからも分かるように、シャルコーはシャーロック ホームズ並みに詐病を簡単に見抜く力がありました。その人がヒステリーについて述べている特徴ですから信頼できます。

(*1)p176-77、シャルコー神経学講義
 略中に「工業化時代が進むにつれ,仕事に関連した説明不可能な病気が急増したが,シャルコーはその多くがヒステリーと解釈できると説明した。」とあるが、現代からすると、職業性ジストニアもあり、ヒステリーと間違えられてもおかしくないので、注意を要する。

(*2)p79、シャルコー 力動精神医学と神経病学の歴史を遡る ―精神科医からのメッセージ 江口重幸 勉誠出版 2007。
 三浦謹之助などにも触れ、シャルコーとその余波を描き、伝記としてはこちらが優れています。弟子の発言など1次資料に近いのはGoetzの方ですが、ゾラまで触れなければ終われないことを感じさせてくれました。
 日本の神経学にこれらを今なお伝える岩田誠先生(ふらんす2008;vol83no3白水社に書評)だけでなく、シャルコーとともに混乱を歩むことができたらと願う人はいるはずです。
 なお、拙著「神経診察ビジュアルテキスト 医学書院 2002」の閉じ込め症候群で「嘆きのテレーズ」の原作者ゾラが(1867年に)どうしてこのような設定ができたのだろうか?と疑問を投げていましたが、この伝記を読んで分かった気がしました。火曜日講義は一般公開されたとのことです(p16、同上)。

(*3)p174、シャルコー神経学講義
(*4)p181、同上
(*5)p182、同上。彼女が表紙図の患者とのことです。

 これらの本が教えることはまだありますが、それらは別な文脈で引用します。読者が、シャルコーをいくらかでも好きになって、ヒステリーという用語の表層的批判から離れることを期待します。医師はもちろんですが、一般の人にも医学を垣間見れる良い機会と思いますので、2つの本をぜひ読んでみてください。
 病名をどうするかは続きますが、重要なHLAとの関連の下書きが昨日新幹線の中でできたので、週末には出します。

子宮頚がんワクチン副反応18

子宮頸がんワクチン | 10:57:08 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応17
神経学の祖 シャルコーが教えてくれたこと1
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 前回のブログの絵で、老いたマーロン ブランドに似ているシャルコーですが、何をなしたか資料から紹介してみます。原題はCharcot, The Clinicianです。子宮頚がんワクチン問題にかかわる人は、絶対知っておくべきです。

シャルコー神経学講義 クリストファー・G. ゲッツ著 白楊社 1999 図はアマゾンから
シャルコー神経学講義表紙

 プルキンエが1837年に中枢神経細胞図譜を発表。今でも名を残すロンベルグが初の教科書を1840-46年発行したが、臨床神経学は発展途上の分野であった。シャルコーは1848年医学部入学、1862年、5000人収容のサルペトリエール病院の教授となり、1866年から素晴らしい臨床講義を始め、多くの国からフロイトを含む学徒が集まった。
 1870年からヒステリーの研究に取り組んだ。それまで完全に馬鹿にされていた催眠術も取り入れ、1887年以降、原因を探っていた。1889年の講義で、彼は伝統を重んじて以前は「ヒステリー性てんかん」という用語を使っていたが、ヒステリーとてんかんは別物であると述べた。これは当時新しい概念であった(*1)。

 また、ヒステリーは女性特有の病気であるとの偏見に対して繰り返し反論し、6人の男性例の講義の中で「男性のヒステリーは珍しいものではありません。略 腕の立つ医師でも男性ヒステリーをかなり見落としています。略 たとえば鉄道の技術者のような力強い元気な労働者で、社会によくとけこみ、精神的に不安定になりそうにない人でも女性同様にヒステリーになりうるのです。」と述べています。(*2)
 心因が一見明らかでない例を心因性と呼ぶことに抵抗を示す、家族や一部の医師は、この碩学の言葉をどう受け止めるのでしょう?私も子宮頚がんワクチン問題以前から、リロイ高の女子学生のように心因が明らかでない例にも典型的な心因性障害がおきると言い続けてきました。

 シャルコーがヒステリー研究を始めるきっかけとなった病棟再編(*3)でヒステリー患者とてんかん患者が一緒になり、弟子のピエール マリー(*4)の記録では、てんかん患者の発作を見て「若いヒステリー患者は強い印象を受けるようになる。そしてヒステリーという神経症には模倣するという傾向があるので、自分のヒステリー発作で本当のてんかん発作の全相を再現するようになる。」と述べています(*5)。
 子宮頚がんワクチンに限らず心因性患者に心理療法的にリハビリに行ってもらうと、そこで脳卒中など患者に触れ、それまでなかった同じような症状が加わることがあります。

(*1)p172、シャルコー神経学講義。「心因性てんかん発作」も同じ意味になりヒステリーですが、子宮頚がんワクチン副反応8で紹介したMyersの表題「心因性非てんかん発作」は、さらに非という語がつけ加わったにも関わらず、同じ実態という不思議です。
(*2)p175-176、同上、
(*3)p170、同上、p17, 21 兵器庫や収容所に使われた貧弱な設備の病院だった。
(*4)主に遺伝子異常による末梢神経疾患シャルコー・マリー・トゥース病に名を残しています。
(*5)p171、同上

子宮頚がんワクチン副反応17

子宮頸がんワクチン | 09:02:16 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応16
文化遺産の語 ヒステリー
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 一般の人には心因性障害で無理なく伝わりますが、専門家には病名をどうするか問題があるので、これから何回か検討してみます。twitterのギスギスした話しでなく、精神科的な間延び話しなのでゆっくり読んでください。子宮頚癌ワクチン議論を明確にするため大いに役立つでしょう。

 私は臨床神経学研修の中で良き先輩に恵まれ、北野病院などをへて琉球大学で神経内科診療を一人で行い、2002年に「神経診察ビジュアルテキスト」を医学書院から出版しました。その中に「心を見る」という章があります。医学書院のプロの校正家が「見る」ではなく「診る」でしょうと修正をかけてきましたが、精神科講義(*1)でも教えられなかった、患者の仕草から心を見ることができるとの意なので断りました。この中で、心因性障害(分かり易く言えばヒステリー)を詐病と一緒に扱うのはかわいそうと考え、合わせて扱う小見出しには新語の「偽病」としましたが、真意を理解せずかえって「偽り」と負の意味にとる人もいました。

 病名について、精神分裂病が統合失調症に変わったことは知っているでしょう。本質的な精神・心・思考などを隠した病名になりました。私は精神科病院でも勤務歴がありますが、呼び替えだけで変わったとは思えません。新規向精神薬の進歩が大きいです。
 ヒステリーも、精神医学で転換性症状(*2)と解離性症状を主とする精神障害群を意味していましたが、興奮して異常な行動とることに転用流布され、語源が古代ギリシャ語の子宮であるとして、用語として使わないとされました。しかし、アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』DSM4版1994年に「歴史的にヒステリーまたはブリケ症候群と呼ばれた」ありますが、ブリケ症候群は専門医でさえ知らない者もおり、そのDSM4が提唱した身体表現性障害は一般人には理解されていません

 それどころか、神経内科専門医の私でさえ子宮頚癌ワクチン以前から診療で心因性障害をいろいろ経験してきましたが、そこを何回読んでも雲が払えず、まだ経験不足かと考えていました。驚いたことに、日本では2014年6月出版のDSM第5版では、「DSM4における身体表現性障害があいまいであった」、「身体表現性障害の間に多くの重複があり、診断の境界が不明瞭であった.これらの障害をもつ人が精神医療よりも身体医療の場を受診するにもかかわらず精神科領域外の医療者にとってDSM4の身体表現性障害の診断基準を理解して使いこなすことは困難であった」と述べています。教科書の方が間違えていたとお詫びされても、遅いというものです!

 DSM5をまだ読んでいない医師も多いでしょうから(*3)、これは後日読むとして、今回言いたいのは古典的な語ヒステリーを使うことです。

 「てんかん」は差別されることもまだあるでしょうが、啓蒙が進み、用語を変えろというのは大勢ではないです。ネットから引用すると;
 「てんかん」という病名は、西欧諸国で広くつかわれているエピレプシー(Epilepsy)よりも起源の古い、古代中国医学、世紀前200年頃、万里の長城を築いた秦の始皇帝の時代、官廷医たちによって編纂された中国最古の医書である「黄帝内経大素」に由来する用語。漢字の「癲(てん)」は顛倒の顛にやまいだれで囲んだもので、「倒れる病」という意味であり、(略)「癇(かん)」はひきつけ、けいれんを意味する言葉で、もとは小児てんかんを意味する病名でした。「癲」と「癇」を合わせた「癲癇」という用語が使われるようになったのは、唐の時代(618~907年)の末、わが国では9世紀の初頭に編纂された「千金方」以後(略)。「癲癇」という言葉は、てんかん発作の代表ともいうべき大発作である「倒れる病」という意味であり、合理的・科学的です。秋元波留夫先生講演より」(*4)とあります。漢字は難しくても、意味は明瞭です。

 神経学の祖であるフランスのシャルコーがヒステリーの臨床講義をしている絵(*5)は、神経学を学んだ者に知らぬ者はいないのでは思えるほど有名です。シャルコーはヒステリー研究に大きく貢献しています。

Une_leçon_clinique_à_la_Salpêtrière_02

 ヒステリーは実際に女性に多いとされているので由来を否定する必要はなく、男にもあり性差別ではない、詐病ではないと、説明するのはとても簡単です。診断名としてもっとふさわしいものがあればそれで良いですが、まだ十分ではありません。「てんかん」と同じくらい、ヒステリーも歴史に根差しており文化遺産と言える語です

 説明に医師が「ヒステリー」と言ったから後は聞く耳持たないという態度はおかしいです。それを表現すると正統的な誤用ですね(典型的とか常識的というのが的確ですが、言葉の遊びで)。繰り返しになりますが、素人にも分かり易い用語なので、正しい意味を啓蒙すれば、「てんかん」同様に、問題ないことです。

(*1)当時、神戸大黒丸征四郎教授の良い講義でした。
(*2)子宮頚がんワクチン副反応9で、conversionを転換と訳すと「てんかん」と聞くだけでは区別できないので、転向障害もしくは変更障害と訳す方が良いと述べています。
(*3)私もテキスト改訂の時間を求めて転職したのでDSM5は避けて通れませんが、カンデル神経科学を読んでいたためDSM5を実際に読むのはこれからです。
(*4)http://www.akari-chan.com/html/epi.html 
秋元 波留夫(1906~2007)精神医学者。1929年、東京帝国大学医学部卒業。金沢医科大学と東京大学医学部教授、東京都立松沢病院院長など歴任し有名。
(*5) wikipediaから。絵の高名な弟子たちの名前も同定されているくらいです。

 子宮頚癌ワクチン問題では他の方も頑張っていますが、理論的には一人で戦っているようで、正直、私にもつらいものがあります。苦しさに耐えて責任を果たそうとしていますが、おかげで私も成長しています。

子宮頚がんワクチン副反応16

子宮頸がんワクチン | 13:03:34 | トラックバック(0) | コメント(0)
神経所見記録スクリプト
神経所見記録スクリプト

 私は卒業時から、日本にPOSカルテを紹介した日野原重明先生の弟子でありたいと電子カルテにも注目してきました。現在、医療情報学会に入っており、電子出版も関心があったので60歳過ぎてからHTML5やJavaScriptやJQueryもかじりました。

 意義を他の人が理解できるか分かりませんが、私には必要なプログラムを、参考書を読みなおして約2日、Yahoo知恵袋のjavascriptのカテゴリマスター yueniconicoさんにプラグラムの間違いを教えてもらい訂正し、さらにrewriteできるように約2時間かけて作りました。
 ブラウザ上で上段の所見を変更してrewiteボタンを押すと、下段の該当項目に反映されるというプログラムです。ドラッグしてコピーすると、電子カルテに張り付けできます。2次利用できないテンプレートでは、電子カルテにこき使われるだけです。

診察NExam4

 私は神経内科専門医として無駄のない文章で書いた病歴陰性所見も含んだ診察所見まとめを必ず診療情報提供書に転記して送るようにしています。これなら退院サマリーなどにも利用できます。また、診療報酬の加算に、立法の精神を理解しない押しつけ(誤解)があるので、これをかわす仕組みになっています。

病院 | 18:24:53 | トラックバック(0) | コメント(0)

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