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子宮頚がんワクチン副反応33
除外診断の怪しい横田基準と別な新ツール
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 子宮頸癌ワクチン副作用の横田基準(*1)では、「除外疾患として、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデスなどの膠原病等の既存の疾患の診断ができる場合は 除外する」と表中にありますが、その下注では「なお、除外疾患として、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデスなどの膠原病の診断ができる場合は 除外する」です。どちらが本当でしょう?
 その本文5行を埋める鑑別を要する疾患群に、統合失調症や心因性障害は記載されていません。すでに述べたように、統合失調症を除くというのであれば、心因性障害(古くはヒステリー)も子宮頸癌ワクチン登場のはるか昔から多数の症例があり、当然除外されるべきです。
 しかし、彼らは、専門医が心因性障害と診断した例で、心因性障害(変換症)の特徴である神経学的に矛盾する所見も説明できない症状として、副作用例として扱っています。
 ならば、統合失調症の幻覚・妄想は、「神経学的に説明できない症状」の最たるものですから、HPVワクチン接種後に発症した統合失調症も含まれると考えるしかないでしょう。しかも、「HPVワクチン接種後(期間は限定しない)」であり、統合失調症の発症のピークは10代後半から20代ですが40歳以降でも発症するので、思春期にHPVワクチン接種して50代で発症した統合失調症も副作用例になるでしょう。
 このように、心因性障害が含まれるなら、統合失調症も含むので「糞詰まり」基準と揶揄されて当然です。このような単純なことに考え及ばず、自分たちの専門領域の膠原病のことだけで、さも立派な基準のように信じ込んでいるのが不思議です。

 また。好発年齢が重なり偶発発症の可能性指摘した辺縁系脳炎は、下図のようにMRIで信号異常が見られます。横田俊平医師が辺縁系脳症だと言っていますが(*2)、このような画像異常を報告せず、横田基準で除外診断にあげるくらいですから、副反応では辺縁系脳炎は起きていないのでしょう。とすると、辺縁系脳炎を起こさない機序で、辺縁系脳症が起こると誰が信じるのでしょう。

NeurologyOrg-LimbicEncephalitis-F3large.jpg

 HANS基準の骨子とされる視床下部説では、神経専門医でも症状の説明が無理で、HANS基準は全くまとまりがないです。
 厚労省の副作用報告制度にも問題があります。重篤例に基準はなく、個々の主治医の判断だけで、どちらの側にとっても意味のあるものではありません。米国では、重篤例は研究機関で統一的に決めているそうです。 
 こういう不備を補った子宮頚癌ワクチン接種後の事象を統一的に扱う道具が必要です。中でも重要な症状発現の時系列が明らかになる仕組みが必要です。

(*1)横田俊平他、日本医事新報no.4758;46-。接種後の10例を報告。呼称は西岡基準と区別するためです。
 この論文に対して、今野他が日本医事新報no.4783;14-で、WHOの基準に従って有害事象を説明できていない。単に接種後のみの症例報告に過ぎず(疫学にも基づかず)因果関係も明らかでないと反論しています。
(*2)日本医学会・日本医師会合同シンポジウム 、2014年12月10日

 重要な論文作成のため、2月はブログを休みます。未発表だった模型ヨット記事や多くの人が待っている池田論文評価も3月以降の予定です。

子宮頚がんワクチン副反応33

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子宮頸がんワクチン | 14:43:51 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応32
1月27日NHKテレビ報道
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 昨日「日本で副反応問題がこじれた要因」をブログした後、一息したいところでしたが、村中FBで夜の「クローズアップ現代」の放送予定を知りました。このブログを頼りにしている方もいるので、速報コメントします。

1)紹介された患者の歩容は奇異です。
 前ブログで主治医への取材をしたかと指摘しましたが、今回の症例も初回の失神報告の後受診した複数の病院は副反応として報告していません。その理由どころか、取材したかさえ述べていません(拒否されたならそれも述べるべきです)。
 紹介された患者の歩容は奇異であり、それが器質的なものであれば、特定の診察所見の裏付けと臨床神経生理検査で特定の異常があります。心因性を疑う他の所見がなく、それらがそろえば副反応報告どころか、私でも(因果関係は別としても)日本神経学会に症例報告をします。支持する所見がそろっておりながら、副反応報告しなかったなら怠慢でしたで、すむ問題ではありません。しかし、そろっていれば患者側も黙っているはずないですが、宣伝できないのでしょう。とすれば、心因性と考えたというのも十分納得できる奇異な動画所見です。

2)日本の副作用報告制度は、報道のとおりお粗末です。

3)米国の副作用報告制度の肝心な点が報道されず。
 米国では、ワクチン副作用の患者申告は、報告の価値のあるものについてのガイド(*1)があります。ワクチンの種ごとに接種何週間以内の何症状とされています。特に、重篤例は専門家が定める仕組みです。よって、HPVに限らず他のワクチンでも、日本と比べ、患者申告は米国が多く、重篤例は米国が少なくなります
 今回の報道のように患者申告だけを取り入れたら大混乱が生じます。米国のような判定専門医は日本ではどこにいるのでしょう?
 衣笠万里医師が、ロタウイルスワクチン危険性を明らかにした米国CDCが、一方で子宮頸癌ワクチンの安全性を述べていることを取り上げないのは、片手落ちとFaceBookで指摘しています。

(*1)VAERS_Table_of_Reportable_Events_Following_Vaccination.pdf

 メーカーと対立しているわけではありませんが、2-3人のボランティアの活動で費用もかからず時期がくれば問題が鎮静化するかのようなメーカーには、いい薬になる報道でしょう。こちらは早ければ秋とされる報告の結果も織り込済みです。

子宮頚がんワクチン副反応32

子宮頸がんワクチン | 11:16:57 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応31
日本で副反応問題がこじれた要因
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 先日、あるメーカーにこの問題の解決ビジョンについて聞きました。正直なところ、副反応報告提出と情報提供(MR活動)しかしていません。別の必死な担当者にはビジョンがないビジネスは撤退すべきであると述べました。村中さんの頑張りはありますが、現状は厳しく、その程度の活動で解決するとは思えません。
 メーカーには、解決ビジョンといわずとも、副反応問題がこじれた要因の分析もありません。この機会に考えを整理しました。

1)我が国ではSMONなどの薬害の歴史がある。(*1)
 薬害が起こる可能性が周知されています。しかし、これは社会の財産であり、悪いことではありません。

2)テレビで心因性例も副作用と報道された。
 公共NHKも、一部医師の影響もあったかもしれませんが、その症例の前の主治医(13施設)がどういう根拠で副作用でないと診断したのか確認の取材をしたのでしょうか?安易に1)に結びつけていませんでしたか。その例の意識障害は解離性トランス以外では説明困難です。

3)SNS発達で広まった。
 歴史的に集団ヒステリーは多くの例があるが、テレビだけでなくスマートフォンによるツブヤキも心因性障害の誘因になった可能性はあります(*2)。調べてみると、私だけでなく、この問題が広まっていた2013年9月に、「集団ヒステリーの新たな感染経路となるソーシャルメディア」というITニュースもあります。
 2015年、小学6年生の携帯電話・スマートフォン所有率の全国平均は58.0%とされており、同じ教室に症例がいなくても、いくらでも症例の情報は得られます。心因性障害(古典的にヒステリーという方が分かり易い)は、他の病気の真似をし易いが、奇異な動作は動画を見ていなくても起きます。全く関係ない人に、歩きにくい真似をしてくださいと指示をし、その度さらに別な歩行障害の真似を要求すると(役者でなくて)何種もできるでしょう。報道例の異常運動もこれを越えるものではありません。
 ただし、先進国でも所有率は高く、我が国だけの問題ではありません。
 主治医は専門医のプライドをかけて、詳しい病歴や診察所見から診断を下しています。それら家族がwebサイトを作るのは自由ですが、主治医のような関わりもなしに、家族だけの情報を撒き散らすのは、責任ある社会人ではありません。引用した家族に対して実は加害者になっている可能性もあるのです。

4)精神科診断の混乱
 DSM4の身体化障害で心因を求めた誤りが、副反応問題が出て来た2012-2013年には残っていました。この解説12をしました。
 これは世界的なことですが、「明らかな心因がなくて、心因性障害(変換症)が起こる」を家族に納得させる精神科の力量が、我が国ではどうかです。精神科が神経学から離れてだいぶ経ちます。今の精神科医は自分が知らない神経疾患が未だあるだろうとして、神経学矛盾所見の評価ができず、変換症と診断できません。
 必須ではないといっても肝心な心因の評価についても、専門家として周囲をうならせるものがあるでしょうか?私が池見酉二郎について調べた時に、当時、精神分析に値する者は1人くらいだったそうです。その後、多く輩出したと聞いていません。最近の論文(*3)でも、我が国には精神分析家は30-40人しかいないと述べられ、「日本は精神分析が市民生活に根づいたことのない唯一の先進国」と評されています。セラピストは数百人はいるとされ、「精神科の患者で、症状よりも人との関わり方、自己や世界の主観的な受け取り方に臨床的焦点があり、切実な動機づけがある場合、精神科医は患者を彼らに紹介して精神分析的精神療法を依頼できるはずである」と述べられています。
 「読心術のような特殊能力を備えている人は精神科医というカテゴリとは無関係です。」という私のブログへのコメントも確かと思いますが、「患者の反発を避けるため心因性と言わない」程度の(精神科的?)対応で済ます(*4)ことに歯がゆさも感じないなら、精神科医の価値はないでしょう。私は診察時間を十分取りさえすれば、自らの力量を信じて、より効果が上がるように病名を家族には積極的に告げる方針です。
 我が国には、森田療法や故河合隼雄などの優れた精神医学的財産があります。誰か一人のがんばりで解決できるはずなく、多くの精神科医や知識人の力を集めて、臨床心理の世界を欧米なみに市民文化に根づかさなければ、心因性障害が解決することはないでしょう。副作用のリスクかワクチンの効果かという単なる2者択一の公衆衛生の問題ではないです。

(*1)整腸剤キノホルムによる薬害。1955年頃より発生し1967~1968年頃に多量発生した。
(*2)まだ実証はされていないので、精神科医の取り組みが必要と述べました。
(*3)藤山直樹、臨床精神医学、2015、44(8):1109-1114
(*4)患者との関係構築で医師本来の意見をしばらく伏せることは理解できます。本文と直接関係しませんが、村中ブログに心因性患者のことを述べた専門家が匿名であることを非難する発言があります。この理解が少しでもあればそのように言えないでしょう。
 そもそもEBMに基づいた指針がないときエキスパート・オピニオンとして専門家の意見が尊重されています。論文上で彼らの名前全てが明らかになることはありません。これは専門家を選定した著者の信頼性が担保されていれば済むことです。こうした事情も分からない世間一般の素人ならやむをえませんが、学者ならそう言うべきではありません。もちろん、村中さんの信頼性を問題にするのはその人の自由です。
 私が考える解決法のために匿名の専門家に積極的に働いてもらい、それを尊重する世論を作るつもりです。

子宮頚がんワクチン副反応31


子宮頸がんワクチン | 15:17:43 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応30
「説明困難な症状」のごまかし
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 心因性障害に良く見られる奇異な、神経学的に矛盾する症状を「説明困難な症状」とごまかす人たちがいます。それに引用された記事(*1)を検討してみます。

 DSM5のはるか前の2009年と古く、子宮頸癌ワクチン関連で書かれたものではありません。著者は血液学出の医院で診療する方で、プライマリケアらしい配慮はあります。

 中心は、引用解説される「医学的に説明困難な身体症状MUS」で、これには,①未知の疾患による身体症状,②医師の能力不足のために未診断のまま放置されている身体症状,③ 詐病および虚偽性障害,④身体表現性障害などの多彩な病態や疾患が含まれています。

 DSM5で否定された身体表現性障害だけでなく、より意図的な「詐病および虚偽性障害」も含んでおり、これらは機序としては明らかに心因性障害です。①と②の機序を器質性とすると、これら治療法が異なる疾患を含むMUSは、「21世紀病」と同じで、疾患単位とは言えません
 意図したとは思えませんが、「MUSという概念/用語」から「重症な身体表現性に至る一連の臨床スペクトラム」という風に、あいまいなものから疾患単位に紛らわしく見せ、「外来患者の3割」と展開されています。譬えて言う「成人に多いのは、1番が21世紀病で、2番が脂質異常症、3番が、、」に類似です。これが許されるでしょうか?これが事実としても疾患単位の比較の場面ですからおかしいでしょう。
 MUSは、①と②の器質性疾患であっても患者の(医師との関係などにおける)心理的要因を、明らかな心因性である④身体表現性障害や③ 詐病および虚偽性障害とを一緒に扱うという、生活習慣病などと同じ方略的呼称に過ぎず、あいまいな展開につけいって実体があるように引用する方がおかしいのです。

 他にも問題点があります。詐病も含むので「身体化よりも広義」というのは正しいですが、混乱したDSM4の影響で、「身体化障害(somatization disorder)とは,歴史的にはBriquet症候群と呼ばれ 多彩な身体症状を何年にもわたって持続する難治性の精神疾患であり,いわゆる「身体化(somatization)」とは異なる概念」というのは、著者の理解不足です。DSM4版1994年に「歴史的にヒステリーまたはブリケ症候群と呼ばれた」とあるように、英語の神経学教科書でも、ブリケ症候群はヒステリーなど心因性障害の代名詞であり、身体化障害は身体化の機序によるものです。
 器質的疾患の混同を少なくするためDSM4が設けた「30 歳以前に発症し,疼痛症状,胃腸症状,性的症状,偽神経症状を含む」項目が誤解されて、当時の論調の影響もありますが、特殊な病態と勘違いされています。DSM5ではこの基準が否定されたことはすでに述べました。
 また、「診療で遭遇する頻度が最も高いのは鑑別不能型身体表現性障害であり,疼痛性障害,心気症がそれに続く」というのも、私が上で用いた譬えと同じです。DSM5で否定されたDSM4の身体表現性障害の基準が不適当のためくず箱の鑑別不能型が結果として増えたということを理解していたら、このような書き方はしなかったはずです。鑑別不能型が心気症などの亜型と同じような書き方になっており、DSM4が疾患単位の基準という幻想の影響が感じられます。

 このように不備が目立ち、著者の熱意にもかかわらず、当時の混乱した精神科診断の煽りもあり、MUSの本質的な批判はできていません。元論文は英語(2008年)というだけで価値があるとみなしてはいけません。自らの深い経験・洞察が必要ですが、精神科医ではなくプライマリケア医という限界でしょう。現在は、著者も正しく理解しているかも知れません。
 問題はこれを現在に引用した人です。タイトルだけで内容を読まずに、他の人が利用したのを孫引きしたならまだしも、読んでも誤りに気付かず代わりの類似文献を使わないのは、先が思いやられます。私なら、DSM4の身体表現性障害が入っているだけで、引用の価値はないと考えます。
 
 なお、一般内科医ならともかく神経専門医なら能力不足で心因性と誤診するのは考えにくく、能力不足で心因性でないと誤診する神経専門医の方が害をなしているのを経験しています。

 枝葉がつきましたがまとめると、「医学的に説明困難な身体症状MUS」は、心因性障害も器質性障害もごちゃまぜで、治療法が全く異なる疾患を含み、疾患単位とは言えません。方略的呼称に過ぎず、これを診断と絡めて引用する方がおかしいです。


(*1)宮崎仁、日本内科学会雑誌、2009、98(1):188-

子宮頚がんワクチン副反応30



子宮頸がんワクチン | 08:10:52 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応29
診断名は治療を踏まえて
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 糖尿病も高血圧症も多因子で患者も多い21世紀でも重要な疾患です。征服の期待を込めて、私がこれら2つを「21世紀病」と呼ぶことを提唱します。診断基準は糖尿病学会基準と高血圧学会基準のいずれかを満たすものとします(国によって違いますが、とりあえず日本)。これは意味あるでしょうか?
 「DSM5虎の巻」の中で「診断を行う目的は、臨床においては治療を組むためである」という章の冒頭から引用; 診断diagnosisという言葉は、ギリシア語の、間dia、知識gonosisの合成からなる言葉であるという。間の知識とは、 lつは鑑別診断の意味であり、1つは現症から治療をつなぐ知識ではないかというのは、児童精神科のわが国におけるパイオニア故牧田清志の指摘である。逆にいうと、治療を組むために役立たなくては診断そのものがラベルにすぎない。
 この発言も示すように、糖尿病も高血圧症も運動療法で改善が見られますが、根本の治療は異なっており、提唱の意味はないでしょう。

 計算上も、子宮頚癌ワクチン副反応例に心因性障害が入ることは避けられません。実際、テレビ映りが良い例は、所見や病歴から素直に考えると変換症と思われる例が多いです。当然、神経専門家に心因性障害であることを指摘されていますが、変換症には一見明らかな心因がないということを家族が知らずに、専門家の意見に従わっていないようです。
 子宮頚癌ワクチン副反応と心因性障害も治療法は異なるので、「21世紀病」のように同一の病名で扱うべきではありません。そうすると、統合失調症のように心因性障害も除外診断すべきですが、西岡基準には除外診断がありません。
 統合失調症を誤診して副作用として扱い、初期治療が手遅れになる危険性を指摘しましたが、心因性障害例も、解決の正しい道を歩むことなく、メーカーや自分自身への恨みつらみ・後悔でグタグタになって悪化のようです。人生は夫々の責任ですから、その家族が信じる治療を受けて頂くしかありませんが、正しい治療から自ら離れるのは、とても心が痛みます。

 治療については、自己免疫という想定に反し、これまでの例から免疫抑制剤が効くとは考えにくいです。プロスタグランディン剤もシングルケース・スタディーに従ったものではなく効果が不明と述べました。(心因性患者でも不安があると交感神経興奮が高まっており、同剤で末梢の循環は良くなる可能性があります。健常者でも薬理作用で末梢の循環は良くなるのですから。)
 通常の鎮痛薬も、器質的疼痛に比べて、偽薬効果を除くと心因性疼痛では効きにくいです。日本の線維筋痛症ガイドラインでは痛みに対してプレガバリン(商品名リリカ)が有効として推奨されています。私も難治性疼痛患者に良く使います。副作用のために継続は必ずしも容易ではありませんが、ほとんどの例で疼痛軽減します。
 しかし、2014年3月の西岡医師発表で3施設の膠原病患者96人(うち女性89人)の内、HPVワクチン接種55人中8人に全身の痛みがあり大部分でプレガバリンが効かなかったそうです(*2)。線維筋痛症も疾患単位として議論がまだあるようですが、副反応例は線維筋痛症でさえもなかったということです。原則、心因性では、奥にあるものが解決されない限り、どんな薬も効くと不都合なのです。心理要素(プラセボー効果)が除かれる2重盲検に耐える治療薬は、これら例にないだろうと思います。

(*1)臨床家のためのDSM-5虎の巻 森則夫他編 日本評論社 2014、p23.
(*2)本題の趣旨と外れるので注に置きますが、「学会のネットワークに登録されている医療機関138施設のうち3施設の」ですから、ほとんどが無視したということでしょうか?参加呼びかけしていないなら、日本線維筋痛症学会の名前を権威づけに利用せず、3施設の名前だけでも十分です。
 女性が多い膠原病もありますが、それ以上に患者構成が偏って専門外来化していることが明らかで、普遍性に疑問があります。女性中62%がHPVワクチン接種を受けている膠原病(リウマチという表記が多い)外来は他にはなく、こじれた副反応例のいわゆるメッカになっているのでしょう。注意したいのは、一般の病院でワクチン接種した健常55人から8人ではないのです。膠原病患者はもとより免疫異常であり、HPVワクチンに限らず、他のワクチン接種でも異常が来易いです。この事実に論及せず、HPVワクチンで高頻度(14.5%)の副作用が出ると記憶づけようとしています。
 学会名の利用もこれも巧妙に仕組まれていますが、見る人が見れば発表は恥では。

子宮頚がんワクチン副反応29

子宮頸がんワクチン | 08:37:14 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応28
ブログ基本姿勢2016年
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

脳委縮(11月14日)、抗NMDA抗体(11月15日)、HLAとの関連(12月18日)、DSM5心因性障害診断(前回前々回など、重要なことを述べて来ましたが、ブログも長くなったので、2016年の基本を確認したいと思います。

ネット上で活動する理由

「学術論文を書く外は科学者の道ではない」と思いこんでいる医師も多いです。しかし、近年、医学会では大会に市民講座を併設して専門知識が狭い箱の中で終わらないように努力しています。論文になるには時間がかかるので、誤った報道があれば苦しむ人が出ないように素早く正さねばなりません。第一、副作用かどうか悩んでいる一般市民が論文を入手することもまず無理です。Lorna Myersもブログから始めたそうです。うわべの「科学者」の目を開くために一言述べておきます(以上再掲)。
 久住英二医師も「専門家集団が『科学的事実は揺るがないから大丈夫』と安心=慢心して情報発信しないことは、果たすべき義務を果たしていないことになりますね。」と発言しています。村中記事以降、いくつか発言が出てきました。しかし、メーカーのwebサイトも十分な対応ではありません。

目標

 メーカーは、子宮頸がんワクチンの副作用が他のワクチンの副作用と同等と結論が出れば、終わりになるかも知れません。私は、心因性障害の発生を一人でも抑え、もし発症したら最善の治療が受けられるようにするのが目標なので、終わりがありません。接種が再開されてもされなくても、心因性障害は起きてくるのです。

何が問題なのか

 確かに、過去に薬害はいくつありました。専門家が間違える未知の事もあるのです。しかし、これを解決するのも疫学に基づいた科学的調査です。
 子宮頚癌ワクチン副反応と主張されている例の報告は、対照群のある研究ではなく、ワクチン接種後の(対照群のない)症例研究であることを、すべての関係者が認識する必要があります。これが認識されている限り、要約された情報より詳しい情報を出していただけると有益です。

 対照群のある疫学が必要ですが、副反応を主張する医師たちは「うちの病院では以前なかった症状の例が増えている」と病院ベースであることを全く意識しない発言がみられ、疫学音痴であることがあからさまです。患者が集まってくる範囲、その中での捕捉率が分からないとまったく無意味です。こういう疫学音痴が、疫学調査に複数加わると日本の恥となる立派な研究ができるでしょう

 検査異常というと素人はつい信じるかも知れませんが、接種後の(対照群のない)症例研究に過ぎず、脳委縮と抗NMDA抗体については接種前からの可能性を指摘しました。また、HLAとの関連については、脱髄性疾患の可能性がしっかりした疫学研究で否定され、わが国でも報道例のMRI画像に脱髄所見がないことを指摘しています。

 これら以上に問題なのは、わが国の心因性障害診断レベルがまだ低いことです。これはDSMという高水準から、現場の神経診察法という低水準(基本)まで要因が重なっています。DSMについては前回前々回の当ブログ整理できました。
 疫学を忘れた人たちは、神経学に矛盾する所見と、倦怠感など神経学で説明困難な所見を混同しようとしています。例えば、心因性の半側触覚鈍麻が正中線で境界されるというデジェリン時代からの古典的神経学知識は、説明困難な所見ではなく、明らかに神経学に矛盾する所見です。これに異を唱える神経内科専門医がいたら資格が疑われます。
 報告例の歩行障害は、筋力低下もなく(神経学的に診ても)奇異と著者自身が述べています(*1)。シャルコー以来の深い神経学知識(*2)に見られない様式が発生?とするのは無理があります。なぜなら、原因は新しいものが出てきても、病的発現機序は体に元々備わっているものですから。例えば、1980年代に明らかになった新しい合成ヘロインMPTPの副作用でも、症状は典型的なパーキンソン病です。
 誤解ないように言うと、心因性の症状は過去の病態からは奇異(矛盾)でも、病的発現機序に頼っていないのでその機序に無理な仮説はありません。

 最後に言うと、私はメーカー側に立っているのではなく、副作用と言われる例の中で心因性障害が正しく扱われていないことに抗議しているのです。
 twitterなどの断片的で科学的でない情報も、心因性障害の発生源になっているので、十分な議論を尽くし、後戻りせず積み上げる科学的解説サイトが必要です。これは、本来はメーカーの責任です。
 しかし、初めての性に関するワクチンで心因性異常が発生し、従来のワクチン異常ではないので、2社譲り合ってなす術を知らないというのが現状でしょう。1社だけであったら、今のようなぬるい対応ではないというのが、正直な感想です。奮起を望むためにあえて言います。

まとめ
1)専門家も「科学的事実は揺るがないから大丈夫」と慢心せず、ネットでの啓蒙が必要です。
2)心因性障害は接種の有無にかかわらず起きるので、対策が必要です。
3)解決は疫学に基づいた科学的調査による。副反応と主張されている報告はワクチン接種後の(対照群のない)症例研究であることを、すべての関係者が認識するべきです。
4)副反応を主張する医師たちは病院ベースで発言し疫学音痴です。
5)検査異常も接種後の(対照群のない)症例研究に過ぎず、好発年齢から接種前からある可能性もあり、脱髄所見もありません。
6)わが国では、DSM5の理解不足、神経学に矛盾する所見を説明困難な所見と混同しており、心因性障害診断レベルが低いです。
7)断片的で科学的でない情報も心因性障害の発生源であり、その解決にはメーカーの責任が大です。

(*1)Kinoshita T et al, Intern Med 2014:53(19);2185-200
(*2)症候学としてはデジェリンの『神経疾患症候学』(1914)を越えるものはないだろうと、岩田誠先生も話されています。

2016-1-22 誤字訂正

子宮頚がんワクチン副反応28

子宮頸がんワクチン | 21:11:45 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応27
DSM5の変換症と解離症
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 2015年12月14日、名古屋市の調査体の多くの不調はHPVワクチン接種者と非接種者とで差はなかった発表されました(直ぐに、村中ブログで紹介されていますが、本ブログではこれを使う予定がないので挿入)。

 ここでは、前回に続いてDSMにおける心因性障害の診断を検討します。

1)DSM5の変換症

 DSMでは複数の診断にまたがる例もあるとされています。報道されている例は、身体症状症というより変換症に近いのもあります。また、変換症の副題に過ぎない機能性神経症状症という用語は、精神科領域だけでしか通じず、意味不明なので使うべきでないことは述べました。
 下記のDSM5の変換症を見ると、長く書いてありますが、随意運動または感覚機能などの症状が、神経学などに矛盾し、除外診断で他の医学的疾患や精神疾患ではうまく説明されないものです。DSM4では心因が条件に入っていましたが、DSM5では心理的ストレスが伴わなくても良いです。
 ニューヨーク州のリロイ高の女子学生は集団発生しており、医学上の経験から分かり易い心因性障害ですが、心因は無いようにみえます。これについて学術文献にはなさそうで報道だけでは確認困難ですが、臨床心理のMyersもニューヨーク州で活動しており、この事件を転換性障害として引用しています(*1)。
Myers-timthumb.jpg

 前回の「DSM5の身体症状症」で触れましたが、変換症でも症状の類は問わず、単に記載するだけです。繰り返しになりますが、心因性障害における多数の脈絡のない次々変わる症状は、患者のいきあたりばったりの発動で症状が出るだけで、症候群としての意味はないことを現しています。しいていえば、人目につきやすい震えや歩行障害が目立ちますが、厳密に言うと同じ震えや同じ歩行障害ではありません。
 誤解があるようですが、同じような動画を見たことがなくても、心因性障害の異常運動は生まれるので、家族説明に留意が必要です。

DSM5変換症の基準
A:lつまたはそれ以上の随意運動または感覚機能の変化の症状
B:その症状と,認められる神経疾患または医学的疾患とが適合しないことを裏づける臨床的所見がある
C:その症状または欠損は,他の医学的疾患や精神疾患ではうまく説明されない
D:その症状または欠損は.臨床的に意味のある苦痛、または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている,または医学的な評価が必要である
症状の型を特定せよ
脱力または麻痺を伴う、異常運動を伴う(例,振戦,ジスト二ア運動.ミオクローヌス,歩行障害)、嚥下症状を伴う、発話症状を伴う(例,失声症,ろれつ不良など)、発作またはけいれんを伴う、知覚麻痺または感覚脱失を伴う、特別な感覚症状を伴う(例,視覚.嗅覚,聴覚の障害)、混合症状を伴う
該当すれば特定せよ
急性エピソード:6カ月未満存在する症状、持続性:6カ月以上現れている症状
該当すれば特定せよ
心理的ストレス因を伴う(トストレス因を特定せよ)、心理的ストレス因を伴わない

 注意しないといけないのは、DSM5の「身体症状症および関連群」章の序文で「以前の診断基準は、医学的に説明不能な症状のもつ重要性を過度に強調していた。云々」と分かりにくい文で書かれていますが、それは身体症状症のことです(*2)。変換症では神経学などに矛盾する所見が、DSM4でもDSM5でも必須になっていることです。
 
2)DSM5の解離症

 DSM5で「身体症状症および関連症群」(変換症含む)と「解離症」は別な章です。まとめて呼ぶのは心因性障害やヒステリーしかないことは繰り返し述べてきました。

 「変換症はしばしば,離人感,現実感消失,および解離性健忘などの解離症状を伴っており」とされます。解離性健忘も重要ですが、意識障害と間違えられる症状に解離性トランスがあります。これはDSM5では、「他の特定される解離症Other Specified Dissociative Disorder」に含まれています。引用すると、

 解離性トランス:この状態は直接接している環境に対する認識の狭窄化または完全な欠損によって特徴づけられ, 環境刺激への著明な無反応または無感覚として現れる。無反応性には,軽微な常同的行動(例;指運動)を伴うことがあるが、一過性の麻痺または意識消失と同様に,これにその人は気づかず,および/または制御することもできない。解離トランスは広く受け入れられている集団的文化習慣または宗教的慣習の正常な一部分ではない

 以前、ハートネットTVで取り上げられた2例目の症状は、解離性トランス以外では説明が困難です。

この2回のブログで最新版DSM5に基づく心因性障害の理解ができたでしょう。

(*1)Lorna Myers、心因性非てんかん性発作へのアプローチ、医学書院 2015
(*2)臨床家のためのDSM-5虎の巻 森則夫他編 日本評論社 2014、p98.復習になりますが、前回の身体症状症は、症状よりも患者が気にしているということが中心であり、一言でいえば従来の心気症です。

子宮頚がんワクチン副反応27

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子宮頚がんワクチン副反応26
DSM5の身体症状症
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 論文の欠点を指摘するより、全国の神経内科医・精神科医・小児科医が自信を持って心因性障害の診断ができることの方が、何倍も重要です。その障壁となっている誤解を取ることがこのブログの役割です。

 DSMは精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の略です。精神疾患は検査値の異常で定義するのが難しく、診断が不ぞろいであったので作られ、アメリカ精神医学会によって出版され世界中で使われています、しかし、1980年の第3版から多軸診断やカテゴリー診断を取り入れ、1994年の第4版からの身体表現性障害を提唱し、いずれも2013年の第5版では廃止という前科があります。子宮頚がんワクチン副反応16で一部紹介。

 一般の方はまず「症候群」を理解しましょう。例として、クッシング症候群があります。満月様顔貌や中心性肥満(手足より胴が太い)があり、血圧が高く、血糖値が高いなどの所見を伴います。これらから、副腎機能亢進症が推定され、副腎の良性腫瘍や下垂体の腺腫などの原因が考えられます。

1)DSM4(TR)で考える

 否定されたDSM4で身体表現性障害の中の身体化障害は、ヒステリーに当たるとされています。その基準を見ると、症候群と似ておりこれがカテゴリー診断です(*1)。下記の基準にも書かれている転換性と解離性(記憶喪失も代表的)は別になっています。

DSM4身体化障害の基準
A:30歳以前に発症し,何年にもわたって持続する多症状性の障害。
B:以下の基準のおのおのを満たしたことがなければならず,個々の症状は障害の経過中のいずれかの時点で生じている。
(1) 4つの疼痛症状;少なくとも4つの異なった部位または機能に関連した疼痛の病歴
(2) 2つの胃腸症;:疼痛以外の少なくとも2つの胃腸症状の病歴
(3) 1つの性的症状;疼痛以外の少なくとも1つの性的または生殖器症状の病歴
(4) 1つの偽神経学的症状;疼痛に限らず,神経学的疾患を示唆する少なくとも1つの症状または欠損の病歴(協調運動または平衡の障害,麻痺または部分的な脱力、嚥下困難または喉に塊がある感じ,失声,尿閉,幻覚,触覚または痛覚の消失,複視,盲,聾,けいれんなどの転換牲症状,記憶喪失などの解離性症状,または失神以外の意識消失)
C :下の(1)か(2)のどちらか:
(1)適切な検索を行っても,基準Bの個々の症状は,既知の一般身体疾患または物質の直接的な作用によって十分に説明できない
(2)関連する一般身体疾患がある場合,身体的愁訴または結果として生じている社会的,職業的障害が,既往歴,身体診察所見,または臨床検査所見から予測されるものをはるかに超えている
D:略

 確かに、心因性障害には、多数の、脈絡のない、次々変わる症状があります。しかし、心因性障害は、患者のいきあたりばったりの発動で症状が出るだけで、症候群としての意味はないです。心因性障害の本質的理解があれば、考えるまでもありませんが、今回それを裏付けになるものを見つけました。後に述べるようにDSM5では症状をあげつらうことをしていないのです。
 西岡基準(*2)は症候群として実体があるように見せかけていますが、症例の分析では心因性と考えられる例が多く、否定されたDSM4の身体化障害と同じく、羅列です。また、Cの除外診断は当然ですが、西岡基準にはありません。

2)DSM5で考える

 再編されたDSM5では、「身体症状症および関連症群」の中に、心気症に当たる(身体化障害に替わる)身体症状症と、転換性障害を言い換えた変換症があります。上で述べたように、DSM5の身体症状症では、症状をあげつらっていません(これは変換症でも同じです)。たくさん項目があるように見えますが、「自分の体のことが非常に気になり、生活の持続的な障害がある」に過ぎません。

DSM5身体症状症の基準
A: lつまたはそれ以上の,苦痛を伴う,または日常生活に意味のある混乱を引き起こす身体症状
B:身体症状,またはそれに伴う健康への懸念に関連した過度な思考,感情,または行動で以下のうち少なくとも1つによって顕在化する
(1 )自分の症状の深刻さについての不釣り合いかつ持続する思考
(2)健康または症状についての持続する強い不安
(3)これらの症状または健康への懸念に費やされる過度の時間と労力
C:身体症状はどれひとつとして持続的に存在していないかもしれないが,症状のある状態は持続している(典型的には6カ月以上)
該当すれば特定せよ
疼痛が主症状のもの(従来の疼痛性障害):この特定用語は身体症状が主に痛みである人についてである
該当すれば特定せよ
持続性:持続的な経過が重篤な症状,著しい機能障害,および長期にわたる持続期間(6カ月以上)によって特徴づけられる
現在の重症度を特定せよ
軽度:基準Bのうち1つのみを満たす
中等度:基準Bのうち2つ以上を満たす
重度:基準Bのうち2つ以上を満たし,かつ複数の身体愁訴(または1つの非常に重度な身体症状)

 以前、西岡基準が心因性障害である身体化障害に似ているとの指摘がありました。これに対して、どちらも症候群のように解釈して、(身体化障害が成り立つなら)西岡基準も成り立つのではという反論がありましたが、ここまで述べたように、この( )内は間違いで、反論は勘違いです。子宮頚がんワクチン副反応21で示したように、視床下部説では症状説明が神経内科専門医でも無理で、HANSは全くまとまりなしです。

 精神科医も心因性障害は得意ではないので、私が今回指摘した論はまだ無いようですが、これは診断にあたって重要です。引用だらけで簡単に見えるかも知れませんが、毎日夜中もずっと考えて、初夢も子宮頸がんワクチンに関するエピソードだったという苦しみから生まれたものです。

(*1)第5版ではこれから脱却を目指し、一部が多元的診断になったとされます。
(*2)International Journal of Rheumatic Diseases 2014; 17 (Suppl. 2): 6

子宮頚がんワクチン副反応26

子宮頸がんワクチン | 10:58:18 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応25
心因性を告げないのは、癌告知を避けること
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 ベテランの内科医なら1度や2度、紹介状なしで受診した患者の処方がどう見ても統合失調症としか思えないのに、本人は自律神経失調症と言われている場面を経験しているでしょう。患者との関係構築の過渡的な段階のこともありますが、統合失調症と告げた時の面倒を何年も避けている可能性もありそうです。

 それは癌の告知をしないということと同じです。確かに、昔は癌と告げただけで心身とも弱って死期が早まるという例も多かったでしょう。実際は、癌と告知すると患者の悩みが噴出して外来では(おそらく入院でも)対処できないと嫌うこともあるでしょう。しかし、今では本当に心ある医師は、癌を告知して患者の残されたわずかな人生を有意義に過ごせるように考えます。これに適した図を借りました(*1)。

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 統合失調症も新規向精神薬のおかげで多くの患者が日常生活できるようになってきました。本当の診断を告げて幻覚・妄想に対して指導することもできるでしょう。しかし、自律神経失調症では幻覚・妄想の説明もできず、患者は振り回されるばかりです。

 心因性障害も同様です。これを自律神経失調症や体の異常と言えばとてもイージー(安易)です。しかし、それでは、正しい治療ができません。私が言うだけではありません。
 2013年のジョエル・パリスの「DSM-5をつかうということ その可能性と限界、2015年、監訳松崎朝樹、メディカル・サイエンス・インターナショナル、p,88」から引用します。(境界性パーソナリティ障害は、治療面からは統合失調症より心因性に近い位置にあるでしょう。)

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 診断を患者に伝えることによる治療上のメリットは,今では広く受け入れられている。私のサブスペシャリティである境界性パーソナリティ障害でも,病名告知は有効だ。 略 境界性パーソナリティ障害のマネジメントに関する先髄的な研究で, Linehanは, 治療方法(弁証法的行動療法)の最初のステップとして, DSMの基準のスライドを示し, 診断の詳細を説明し, 治療計画の際にこの基準を道しるべとして用いた。 その手法は,私の経験上でも有益だった。診断を説明することで,それらの問題が精神科で知られていること, 治療について行われてきた研究結果が患者の回復を導くことを理解し, 多くの患者が安心するのを私はみてきた。 略 患者は病気について知る必要があり,知るに値する。

 心因性障害治療には、臨床心理士の立場からから書かれたLorna Myersの「心因性非てんかん性発作へのアプローチ、医学書院 2015」も大いに参考になります。ただし、「心因を見つけ出し、それと戦わないと直らない」というものではありません。それは誤解です。私のブログ子宮頚がんワクチン副反応21で報告した症例も、治療とは関係なく、教師が急ぎなさいという一声だけで修学旅行という気分一新の環境で仲間と思わず駆け出したら、免疫グロブリン大量療法でも直らず何ヶ月も続いた歩行障害が消えました。
 治療について述べるのは簡単ではありませんが、進行性の神経変性疾患ではないことを告げ、心因性障害なので直ることを信じて、あわてず治療をしましょうとすることが良いでしょう。薬害なら、機序も不明で、直ると言うのは難しいでしょう(*2)。どちらの可能性を信じますか?

(*1)アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜
 私も癌の弟に治るかと聞かれ、医師として肉親として「生まれ変わっても兄弟でいような」としか言えなかったことがあります。思い返すと今でも涙がこぼれますが、正しかったと感じています。
(*2)別ブログの予定ですが、自験例からも免疫抑制剤が効くとは考えにくいです。プロスタグランディン製剤の点滴などの試みも、数が少なく、しかもシングルケース・スタディーに従ったものではないので、EBMデータにはなりません。心因性障害で偽薬効果も十分可能性ありです。

子宮頚がんワクチン副反応25


子宮頸がんワクチン | 08:57:45 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応24
統合失調症を含む西岡基準
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 厚労省のwebサイトでも「統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です」とされています。私たちへの精神科講義でも、同級生が約100人なのでその中に1人はいると言われ、実際卒業まもなくその通りになりました。思春期発症も多いです。(*1)また、古くから世界中に存在が認められていますが、神経学の祖シャルコーの時代でもある1852年、フランスの精神科医ベネディクト・モレルによって初めて公式に記述され、オイゲン・ブロイラー(写真)が1911年に精神分裂病Schizophreniaを造語し定義しました。日本では2002年から統合失調症と呼ばれています。(*2)

オイゲンブロイアー


私は精神科医ではありませんが、2013年に現在地に移ってからも、若年女性の統合失調症と精神科医が診断した患者が紹介状なしで受診した2例を診ました。私は病歴をおろそかにしませんから当然、発症の前に子宮頸癌ワクチン接種が有ったことを確認しています。 子宮頸癌ワクチン副作用の西岡基準(*4)では、除外診断がありません。そうすると西岡基準では該当することになりますが、これに精神科医は黙っているのでしょうか?

 私は、統合失調症が脳MRIや脳波で診断できないこと知っていますが、接種に関して家族に説明し、陰性データを得るため検査を行い、以前に述べたように私は全病歴と結果を診療情報として提供しました。返書によると主治医はそのことを知らなかったですが、プライドを持って診断の経緯を述べていますので、家族のその診断への信頼も揺るいでいないと思われます。

 私は統合失調症の発症から治療を担当したことがないので実感はありませんが、精神科医は、統合失調症も早期治療が予後を決定づけると信じています西岡基準では、ワクチン接種後に被害念慮や幻覚・妄想を発症した例を副作用として、脳炎に対する静注ステロイド大量療法や免疫グロブリン大量療法などを効果が出るまで年に渡って繰り返すこともあるでしょう。適切な治療が遅れ、予後の悪化が予想されます。

 Seizureという一流誌に載ったBenbadis論文を元に試算すると、我が国の子宮頸がんワクチン接種の中に507人の心因性患者がいることになります(*3)。これらはどこに消えたのでしょう。重篤例186名より多い数です。心因性障害も早期の診断と治療が重要で、治療法を間違えると損失が大です(*5)。

 統合失調症も心因性障害も除外基準に明文化すべきです。そうせず、統合失調症も含めて混乱を助長するのでしょうか?慌ててご都合主義でこれのみを除外するのでしょうか? この程度ですね西岡基準は。

(*1)厚労省 みんなのメンタルヘルス
(*2)wikipediaによる。
(*3)子宮頚がんワクチン副反応8 Benbadis S.R.,Seizure 2000; 9: 280–281
(*4)International Journal of Rheumatic Diseases 2014; 17 (Suppl. 2): 6
(*5)Lorna Myers、心因性非てんかん性発作へのアプローチ、医学書院 2015

子宮頚がんワクチン副反応24

子宮頸がんワクチン | 08:59:53 | トラックバック(0) | コメント(0)
子宮頚がんワクチン副反応23
「ヒステリーの歴史」から
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 重要なHLA関連のために、まとめが間に合わなかった記事です。

 シャルコーを紹介しましたが、歩きながらも読んだ本の一つがトリヤEtiene Trillat の「ヒステリーの歴史」1986年です(*1)。ゲッツの「シャルコー神経病学講義」原著の前年に出版されていますが、登場人物の多い大河小説のように、これでもかというくらい関係者が出てきます。シャルコー本では足りなかったヒステリーの歴史的全容が分かるので、心因性患者の診療に自信・ゆとりを与えるでしょう。以下、学べる点を上げます。

トリヤHysterie歴史表紙

1)てんかんは脳の病気としたヒポクラテスは「子宮の窒息」として不定の症状を記載しているが、ケルススがヒステリーを書き遺した。
2)シデナム舞踏病Sydenham's choreaに名の残るシデナムが、ヒステリーを「非常に多様で、他の病気のまねをする」独立な病として、ヒポコンドリー(心気症)ともに慢性疾患に分類。(*2)
3)メスマーが、「病気の症状と考えられているこの『発作』は実際には健康にもいい分利」だと主張(1799年、回想録)。(*3)
4)p114、古典派以来、性はヒステリーと関係。(子宮頚癌ワクチンも初めて性に纏わるワクチンです)
5)ブリケ(1796-1881)は多数のヒステリー例を診た。シャルコーは1870年までに、多発性硬化症・脊髄ろう・筋委縮性側索硬化症の研究を終えていたので、病棟再編をきっかけにヒステリー研究を始めた。
6)弟子デジェリンDejerine(1806-1875)がヒステリーにおける情動を強調し心理療法で治療した(*4)。p195、ヒステリー発作は、てんかん発作のように一様で早く小さな運動ではなく、無秩序で大きな運動を伴うと、彼はつけ加えている。
7)催眠によらず連想法を用いたフロイトは正統なシャルコーの弟子であり、ヨーゼフ ブロイアー(1824-1925)が自己催眠状態で連想をたどり起因を再発見した娘の症状が消えたことを1893年に報告。
8)p332、ヒステリーは医者が興味をやめた時から、消えた。(*5)

(*1)訳が悪いとアマゾンで書評されていますが、内容は良いのに英語訳もないのは、原文自体が訳者のいうように難解なのでしょう。清書中(12月29日)に発見して驚きましたが、OpenBookでの抄録があります。でも元が混乱し大部なので分かり易いとはいえません。
(*2)DSM5でも身体症状症関連として、変換症(ヒステリーの一部)と身体症状症(心気症)が並んでいます。解離性障害も含めて呼ぶ語は、心因性障害(偏見に啓蒙すればヒステリーでも十分)以外にないことを指摘
(*3)今言えば疾病利得ですが、「分利」という方が良いかもしれません。心因性発作による「本人も被る不都合」の「分け前としての利得」と解釈すれば、わざとらしくありません。
(*4)岩田誠先生も、症候学としてはデジェリンの『神経疾患症候学』(1914)に勝るものはないとのことです。
(*5)今、医師の多くは心因性障害に対して無防備です。DSM5で変換症Conversion disorderは心因が見えないのが当然を知らずに、診断に迷っています。逆に、患者として報道に取り上げられる現在では、心因性障害は増えるのは必然です。

 性に関するワクチンで心因性障害が多発している現況は歴史的にも特異です。性年齢の低下携帯電話での情報の動きも記録に残っているなど、文化にも素養のあるはずの精神科医は手をこまねいて見ていて、研究はしないのでしょうか? 精神科医の活躍が期待されます。

子宮頚がんワクチン副反応23

子宮頸がんワクチン | 08:27:03 | トラックバック(0) | コメント(0)

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