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子宮頚がんワクチン副反応30
「説明困難な症状」のごまかし
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 心因性障害に良く見られる奇異な、神経学的に矛盾する症状を「説明困難な症状」とごまかす人たちがいます。それに引用された記事(*1)を検討してみます。

 DSM5のはるか前の2009年と古く、子宮頸癌ワクチン関連で書かれたものではありません。著者は血液学出の医院で診療する方で、プライマリケアらしい配慮はあります。

 中心は、引用解説される「医学的に説明困難な身体症状MUS」で、これには,①未知の疾患による身体症状,②医師の能力不足のために未診断のまま放置されている身体症状,③ 詐病および虚偽性障害,④身体表現性障害などの多彩な病態や疾患が含まれています。

 DSM5で否定された身体表現性障害だけでなく、より意図的な「詐病および虚偽性障害」も含んでおり、これらは機序としては明らかに心因性障害です。①と②の機序を器質性とすると、これら治療法が異なる疾患を含むMUSは、「21世紀病」と同じで、疾患単位とは言えません
 意図したとは思えませんが、「MUSという概念/用語」から「重症な身体表現性に至る一連の臨床スペクトラム」という風に、あいまいなものから疾患単位に紛らわしく見せ、「外来患者の3割」と展開されています。譬えて言う「成人に多いのは、1番が21世紀病で、2番が脂質異常症、3番が、、」に類似です。これが許されるでしょうか?これが事実としても疾患単位の比較の場面ですからおかしいでしょう。
 MUSは、①と②の器質性疾患であっても患者の(医師との関係などにおける)心理的要因を、明らかな心因性である④身体表現性障害や③ 詐病および虚偽性障害とを一緒に扱うという、生活習慣病などと同じ方略的呼称に過ぎず、あいまいな展開につけいって実体があるように引用する方がおかしいのです。

 他にも問題点があります。詐病も含むので「身体化よりも広義」というのは正しいですが、混乱したDSM4の影響で、「身体化障害(somatization disorder)とは,歴史的にはBriquet症候群と呼ばれ 多彩な身体症状を何年にもわたって持続する難治性の精神疾患であり,いわゆる「身体化(somatization)」とは異なる概念」というのは、著者の理解不足です。DSM4版1994年に「歴史的にヒステリーまたはブリケ症候群と呼ばれた」とあるように、英語の神経学教科書でも、ブリケ症候群はヒステリーなど心因性障害の代名詞であり、身体化障害は身体化の機序によるものです。
 器質的疾患の混同を少なくするためDSM4が設けた「30 歳以前に発症し,疼痛症状,胃腸症状,性的症状,偽神経症状を含む」項目が誤解されて、当時の論調の影響もありますが、特殊な病態と勘違いされています。DSM5ではこの基準が否定されたことはすでに述べました。
 また、「診療で遭遇する頻度が最も高いのは鑑別不能型身体表現性障害であり,疼痛性障害,心気症がそれに続く」というのも、私が上で用いた譬えと同じです。DSM5で否定されたDSM4の身体表現性障害の基準が不適当のためくず箱の鑑別不能型が結果として増えたということを理解していたら、このような書き方はしなかったはずです。鑑別不能型が心気症などの亜型と同じような書き方になっており、DSM4が疾患単位の基準という幻想の影響が感じられます。

 このように不備が目立ち、著者の熱意にもかかわらず、当時の混乱した精神科診断の煽りもあり、MUSの本質的な批判はできていません。元論文は英語(2008年)というだけで価値があるとみなしてはいけません。自らの深い経験・洞察が必要ですが、精神科医ではなくプライマリケア医という限界でしょう。現在は、著者も正しく理解しているかも知れません。
 問題はこれを現在に引用した人です。タイトルだけで内容を読まずに、他の人が利用したのを孫引きしたならまだしも、読んでも誤りに気付かず代わりの類似文献を使わないのは、先が思いやられます。私なら、DSM4の身体表現性障害が入っているだけで、引用の価値はないと考えます。
 
 なお、一般内科医ならともかく神経専門医なら能力不足で心因性と誤診するのは考えにくく、能力不足で心因性でないと誤診する神経専門医の方が害をなしているのを経験しています。

 枝葉がつきましたがまとめると、「医学的に説明困難な身体症状MUS」は、心因性障害も器質性障害もごちゃまぜで、治療法が全く異なる疾患を含み、疾患単位とは言えません。方略的呼称に過ぎず、これを診断と絡めて引用する方がおかしいです。


(*1)宮崎仁、日本内科学会雑誌、2009、98(1):188-

子宮頚がんワクチン副反応30



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子宮頸がんワクチン | 08:10:52 | トラックバック(0) | コメント(0)

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