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子宮頚がんワクチン副反応19
HLAとの関係1
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 これまで副反応と一方的に宣伝されている脳委縮抗NMDA受容体抗体が、ワクチン接種前からあったとも考えられると(*1)ネットで初めて指摘しましたが、HLAは生まれつき持っているものであり同じようには言えません。HLAとの関連についての研究が報道されたので、現状でどう考えられるか解説をしてみます。
 今回は、一般になじみのないHLAの初歩的解説と検査の一般的特性について述べ、次回に、この検査の課題について考えたいと思います。

1)HLAの復習

 一般の方に簡単免疫学講座(*2)を薦めます。私がネットで探した中では分かり易く、イラストの転載許可をいただきました。免疫は専門外ですが私なりに分かり易く説明してみます。
 個々の細胞に目はなく真っ暗な体の中で動ける細胞は手探りしかありません。今日は12月なので忠臣蔵を引用すると、暗闇の討ち入りで敵か味方か分からず同士討ちを避けるため「山」「川」の合言葉を使ったとされますが、白血球なども相手の細胞に(手で)触れるまで敵か味方か分からないのです。そのため、商品タグのように細胞表面にいろいろな(点字?)目印を付けています。それらは主要組織適合抗原(MHC)と呼ばれ、その一つがヒト白血球型抗原(HLA)で6番染色体にあります。血液型A,B,Oと同じく遺伝ですが、HLAは両親から違う型が来ても共優性で全て発現します。図H1にあるようにたくさんの種類がありますが、遺伝なので人種差があります。HLA−DPB1*0501型は、日本や台湾では多いそうです。

 図H1
lecture13_image_03.jpg

 HLA−DPB1の属するMHCクラスⅡは抗原提示細胞の表面にあり、細胞内に取り込んだ異物である抗原の情報を、別なリンパ球T細胞に伝えます(図H2)。全く架空ですが、吉良上野介が逃げ込んだ部屋(抗原提示細胞)のネズミが浪士に味方し彼の草履を部屋の外の札(MHCクラスⅡ)にかけるようなものです。草履に気付くことができない浪士(T細胞)は、別を探して離れます。草履を知っていたT細胞は戦闘モードになり仲間にも知らせます。

図H2
lecture12_image_01.jpg

 この様に免疫で重要な働きをしているので、昔から研究がおこなわれ、1973年に強直性脊椎炎とHLA B27との強い関連が発見されています。しかし、分子生物学的材料にも関わらず疾患群と健常群との間の疫学的差が明らかになっただけで、「風が吹けば桶屋が儲かる」機序は40年以上たっても解明されていません。クラスⅡ関連でも仮説の域を出ていないとされます(*3)。特に、疫学ですから対象をどう取るかで、研究の過程で関連がないとする論文も出てくることが珍しくありません。

2)検査の感度と特異度

 検査の有用性を計る指標に感度と特異度があります。両者は拮抗することが多いです。
 感度(sensitivity)= A / ( A + C )です。感度が高ければ見逃しが少ない(表H 1のCで示す偽陰性が少ない)ことになり、望まれます。
 特異度(specificity)=D / ( B + D )です。特異度が高ければ、誤って異常と判定されることが少ない(表H 1のBで示す偽陽性が少ない)ことになり、これも必要な条件です。
表H1
感度特異度1

 そこで下表H2は、報道(*4)と副反応発生率0.08%を元に、ワクチン接種者全てに検査して患者が12人に達した時の結果の予想図です。感度は良くても、前述計算による特異度は50%と低く利用できません。つまり、ある個人を測定してHLA−DPB1*0501であったとしても、異常である確率は半々ですから、なんとも言えないことになります(*5)。
 さらに、ワクチン接種した上段に示す検査陽性者の中で11:7489ですから、直接的原因とは考えられないのはもちろんでしょう。検定が不要なほど明らかです。

 研究者は当然これらの事実を知っていますので、一般市民が思いこみを持たずに正しく理解することです。

表H2
感度特異度2

今回まとめると;
1)HLAは免疫に重要な役割を担っている。
2)HLAと疾患の関連も40年以上前から指摘されているが、分子生物学的話題にも関わらず疫学的結論に過ぎず、対象が違うと関連が証明できないこともある。
3)HLAと疾患の関連を、分子生物学的に全容説明するのはまだできていない。
4)HLA−DPB1*0501は健常者での保有率が高いため、子宮頚癌ワクチン副反応がおこる予測には使えない。
5)HLA−DPB1*0501が、子宮頚癌ワクチン副反応の直接的原因とは考えられない。

次回はもっと重要な別な観点です。

(*1)接種前になくても、好発年齢が重なっているので偶発した可能性が高いことも、すでに指摘済みです。
脳委縮;http://powriter.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
抗体;http://powriter.blog.fc2.com/blog-entry-227.html

(*2)滋賀医科大学 病理学講座 疾患制御病理学部門
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqpatho2/lecture/immunology/lecture_09.html
(*3)土屋 尚之他、平成27年度認定HLA検査技術者講習会テキスト リウマチ・膠原病とHLA
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/mhc/22/2/_contents/-char/ja/
(*4)健常者陽性率4-5割とのことですが、毎日新聞ですから研究者の情報に基づいているはずで、簡単にするため5割としました。
(*5)健常者でも極めて稀な型であれば、特異度も高くなり使えたはずですが、残念な結果です。

子宮頚がんワクチン副反応19
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子宮頸がんワクチン | 11:04:57 | トラックバック(0) | コメント(0)
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