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池田の英文症例報告2 昔からあった作為
子宮頚がんワクチン副反応62
(タグ;子宮頚癌、頸がん、頸癌、副作用)

 前回ブログで、EMA報告によって池田報告(*1)の主題が否定されACドクターが沈黙と伝えました。

 交感神経障害を主張したかった著者らが、報告の最初においた18歳例の起立試験で、起立性低血圧はなく、症状も出なかったものの、血漿ノルアドレナリン(NA)値は前値も低く、起立5分後の増加が少ないとしています(*2)、図1。起立試験に脈拍が表記されていないグラフを見たのは初めてです。POTSなどもテーマなので、本例が7拍/分しか増加しなかったとしても表記するのが、普通でしょう。

図1 池田英文報告2014年の症例1の起立試験
KinoshitaBPNA1Fig1.jpg

 日本にデータがなければ外国文献に従うのは当然ですが、日本自律神経学会が編集してこの領域では基幹となりどこの医学部図書館にもある「自律神経機能検査、第3版、文光堂2000年」に、日本人での起立試験における血漿NA値が示されています。10分後の値は同書のGC/MS値から比例算出したものを使い、原図に乗せています(図2)。
 なお、起立試験陽性の基準はデータの裏づけがある収縮期血圧-30mmHgとすべきです。小児では変動が成人より大きいとされているので、-20mmHgでは不適と考えます。別なときに解説するでしょう。また、「自律神経機能検査、第4版、文光堂2007年」で新見が、血漿NA値は若年なら100pg/ml以下でも正常と考えられる場合があると述べていることが注目されます。

図2 池田英文報告2014年の症例1の起立試験 当ブログが修正
KinoshitaBPNA1b.jpg

 5分後も標準偏差SD以内にあり57%増(基準では平均で47%増)であり、10分後は93%増(基準では平均で60%増)です。誰が見てもこの症例の血漿NA値が正常と判定するでしょう。誰でも知っているこの値を使わず、不十分な外国文献を使う(57%vs60%の1点で評価)のは作為ですね。池田らは結果として血漿NA値についてウソを言っています。
 なお。科学畑でない市民のためにいうと1ng=1000pgです。自律神経機能検査でも通常pg/mlで記載されていますが、原図ではng/mlにして数値に0ポイントをつけて小さく見せ、縦軸も不要な過大値まで入れて反応が悪いように見せようと、涙ぐましい努力が感じられます。これは科学者としては誠実とは言いませんが、これを作為とは言いません(著者は安心したでしょう)。合理的な説明なしに、些細な値を有意にするように基準を取捨することを作為と言っているのです。

 16歳で初回接種、psychological insatability心理不安定、不眠、不登校などを経て、2年も経ってから、繰り返すorthostatic fainting起立性失神をきたすようになって信州大学受診しています。
 著者が引用した文献(*3)でも、繰り返す失神・立ちくらみは小児の15-47%に見られるというくらい、ありふれた症状です。単なる偶発症でもおかしくないですが、この起立試験の血圧変動や血漿NA値変動の結果からは、本例の病歴が真の血圧変動によるものか疑問が出てくるでしょう。

 日本では小児の繰り返す失神・立ちくらみを起立性調節障害orthostatic dysregulationと呼びますが、この臨床ガイドラインの本文と表の全行数の内26%が心理社会因子についての記載であることを知って、POTSだけでなく、これにも心因性障害が大きな役割を占めていることを読者にも知ってほしいです。
 せこい努力をする割に誤植ありますが、今も不思議なのは、起立性低血圧も明らかな別な症例があるのに、なぜこの穴だらけの症例を使うのでしょう?

(*1)2014年6月、Kinoshita他、Intern Med 53: 2185-2200
(*2)図1、原図を横圧縮して前回ブログに追加してあります。誤植が2つもあり、誤植は一流科学誌にはありえないですが、アラさがしをしなくても見つけてしまう当方が悪い?
(*3)Tanaka他, 2009, Pdeiatrics International 51:169-179

夕方でも暑いのでマクドに来て書きました。明日も1編出したいと思いますが、8月はブログを休むので、残りはその後になるかもしれません。

2016年8月5日追記;代表的な検査社であるSRLは、測定法がHPLCで、安静時の正常下限は100pg/mlです。

子宮頚がんワクチン副反応62
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子宮頸がんワクチン | 21:34:52 | トラックバック(0) | コメント(0)
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